【9412スカパーJSAT】IOWN構想と宇宙統合コンピューティング・ネットワーク構想

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こんにちは!
個人投資家のsoiyaです!

ロシアのウクライナ侵攻や台湾有事による地政学リスク、資源価格上昇及び金融政策引き締めに伴うインフレ、中国のゼロコロナ政策によるグローバルサプライチェーンリスクの顕在化など、激動の2022年を終え、2023年のマーケットが始まりました。
早くも2か月が過ぎ、これまでは日本株は堅調ですが調子はいかがでしょうか。

今回は、企業が大きく変革の時を迎える(可能性がある)タイミングを意識しながら調査分析をするということに重点を置いてお話ししたいと思います。
具体的な話として、9412スカパーJSATを挙げていますので参考にしてみてください。
なお、取り上げた銘柄への投資を推奨するものではありませんので、ご自身の判断において自己責任で行ってください。

マクロ環境について

マクロ環境のおさらいですが、直近3年間のおさらいと2023年の展望を下記に記していますのでこちらを参考にしてください。

大まかにはコロナショック以降の各国中央銀行の大規模な金融緩和政策が呼び込んだ2020年の金融相場、その反動も受けた2021年、金融引き締めによる逆金融相場への移行や多くのリスクが顕在化した激動の2022年を振り返りつつ、2023年以降に注目されるであろう(見直しが必至の)グローバルサプライチェーンについて書いたものです。

中小型株とPF管理

企業が伸びる時とはどういう時でしょうか。
私も含め個人投資家が好む銘柄は時価総額が数十億円の小型株から200~300億円の中小型株が多いと言われています。時価総額が大きい銘柄を売買するにしても1000億円以下の銘柄を売買する方が大半を占めるのではないでしょうか。

こういった会社は、先行投資時期や成長期にあることから、一気に大化けする可能性があります。
小さな事業から始めていくうちにイノベーションが起きたり、大手と提携したりすることで一気にシェアが拡大したり、利益率が向上したりするのです。
株価が企業の利益と還元に収束することが正しいとすれば、この時期に投資すれば大きなリターンを得ることが可能です。しかし、同時に大きなリスクを負っていることにもなります。

(そうした方を多く見てきましたが)大きく儲けて大きく損をするということを繰り返し、結局儲かっていない、退場しそうだという方も多いのではないでしょうか。
いまは絶好調の方もリスクが顕在化していないだけで、いずれ大きなしっぺ返しをくらうリスクを負っているとの認識を持ち続けておいた方がよいでしょう(なぜなら私もその一人だったからです)。

中小型株ばかりに集中投資することは比較的ハイリスクハイリターンとなりがちですが、これに大型株やローリスクローリターンの銘柄を織り交ぜることでお互いのリスクを相殺する効果も出るため、ポートフォリオ全体のリスクを一気に下げることができます。

大型株が伸びる条件

企業が伸びるのは時価総額の小さな時だけに限らず、1000億円以上でも1兆円企業であっても今後2倍3倍と伸び続けるであろう企業は多く存在しますので、視野を広げて調査・分析していくこともおすすめします。
でも、そういった銘柄を探すにはどういった視点が必要なのでしょうか。

私見ですが、大型株でも成長を続ける銘柄の特徴としては、
 1.業界そのものが伸び続けている=ITにおけるGAFAMなど
 2.新たな業界をリードする=電気自動車におけるテスラなど
 3.シェアを奪い続け世界展開など事業拡大が続く=服飾におけるユニクロなど
 4.ライバル企業や相性の良い企業を取り込みながら成長する=M&A巧者と言われた日本電産など
などが挙げられます。
※他にも条件や共通点はありますので自分なりにどのような企業が伸び続けているのか仮説を立ててみましょう。

今回は、1と2「業界そのものが伸び続けていて、かつ、新たな業界をリードする」企業について探してみました。

次世代通信技術6G×宇宙

今回は、業界そのものが伸びている業界として通信業界に絞ってみました。
私たちが普段使用しているスマートフォンは現在4G及び5G回線が使われています。
最近では、スマホで動画を観ながら通勤・通学をしている人も多く見かけるようになりました。
今後もますます大容量で低遅延の通信が求められていくことは必至かと思います。
そのようななか、新聞やテレビ等では6G回線の整備に向けた記事も見られるようになりました。
6G関連銘柄というのも整理されているようですね。

この6G回線については、2023年3月1日にNTTとKDDIの通信2強が6G開発で連携することが報じられました。
大量の情報を省電力で高速伝送できる次世代の光通信技術の研究開発で連携し、今後は、NTTが既に開発を進めている最先端のデータ伝送技術である「IOWN(アイオン)」を活用して、消費電力量を抑えながら膨大なデータを送る通信網の技術基盤の確立を目指すとのことです。

IOWN構想とは

(本章については、以下、NTTR&DWebsiteから引用)
IOWN (Innovative Optical and Wireless Network)構想とは、革新的な技術によりこれまでのインフラの限界を超え、あらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、多様性を受容できる豊かな社会を創るため、光を中心とした革新的技術を活用した高速大容量通信、膨大な計算リソース等を提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想です。2024年の仕様確定、2030年の実現をめざして、研究開発を始めています。

インターネットやスマートフォンといった近年の重要なイノベーションにより社会のあり方は大きく変わってきました。さらに今後は社会の情報化がますます加速し、AIやIoT(Internet of Things)技術が生活シーンに取り入れられていくことで、私たちの暮らしは大きく変わり、多種多様な価値観が出てくると考えられます。

このような世界では、膨大な情報処理が必要となり、既存の情報通信システムでは、伝送能力と処理能力の双方に限界が訪れます。日本のインターネット内の1秒当りの通信量が2006年から約20年間で190倍(637 Gbit/sから121 Tbit/sへ)になるという推計や、世界全体のデータ量が2010年から15年間で90倍(2ZBから175 ZBへ)に増加するという推計があります。

このように、今後通信量のさらなる増加、ネットワークのさらなる複雑化、輻輳などによる遅延の増加などの重大な課題に直面するため、情報通信システムのブレイクスルーが求められています。

IoTの進展によるネットワーク接続デバイスの爆発的増加は、ネットワークの負荷を高めるだけでなく、エネルギー消費の面でも大きな懸念になっています。また、データセンタの電力消費量の増加も世界的な問題となっています。

IOWN構想の実現には、広範にわたる知識・見識が必要となり、NTTグループのみで実現できることではありません。

NTT、インテル、ソニーの3社は、さまざまな業界から参加パートナーを募り、協力してIOWN構想の実現・普及をめざすIOWN Global Forumを立ち上げました。本フォーラムは以下に示すような分野等において、新しい技術の仕様やフレームワーク、リファレンスデザインなどの検討を通じて、IOWN構想の実現・普及を促進していきます。

NTT×スカパーJSATによるSpaceCompassの設立

2022年4月26日にはNTTとスカパーJSATで宇宙事業に関する合弁会社の設立について発表されました。2021年から進めてきた宇宙統合コンピューティング・ネットワークについて具体的な一歩を踏み出したところであり、今後はその進捗が非常に楽しみです。
簡単に言えば、山奥やへき地・航空や船舶などネットワークの整備が不十分な地域において、宇宙からの通信を利用してネットワークの整備を図ることと、通信方法の見直しにより大容量かつ低遅延の通信を確保していくというものです。

これまでは電気信号を光信号に変換して伝送、受信後に元の電気信号に変換することでデータが伝送されてきましたが、光信号のまま伝送が可能となったことで、その分の遅延がなくなるというのが最先端のデータ伝送技術であるIOWNなのですが、これを活用することで宇宙を介したデータのやりとりがこれまで以上に便利になるということですね。
宇宙からのデータ伝送のレベルが上がれば、防災や安全保障の面からも様々な取り組みが強化されるようになるため、今後の日本のために大変重要な事業となりそうです。

ちなみに2025年度の大阪万博では、大容量光通信技術の宇宙での実証を披露することが決まっており、将来的には全世界にこのサービスを拡大していくことを目標にしているようです。
実現可能性も高そうなので、大風呂敷を広げた夢物語というものではなく、我々が実感することができる日もそう遠くなさそうです。

参考リンク集

その他、関連するリンクを貼っておきますので参考にしてみてください。

NTTとスカパーJSAT、持続可能な社会の実現に向けた新たな宇宙事業のための業務提携契約を締結
https://group.ntt/jp/newsrelease/2021/05/20/210520a.html

NTTとスカパーJSAT、株式会社SpaceCompassの設立で合意
https://www.skyperfectjsat.space/news/detail/ntt_space_compass.html

エアバス、NTT、ドコモ、スカパーJSATの4社がHAPSの早期実用化に向けた研究開発などの推進を検討する覚書を締結
https://group.ntt/jp/newsrelease/2022/01/17/220117a.html

9412 スカパーJSATについて

スカパーJSATについて、どのような印象をお持ちでしょうか。
おそらく多くの方が、スカイパーフェクトTVを思い浮かべるのではないかと思います。
有料多放送チャンネルサービス「スカパー!」を運営し、現在でも300万件ほどの加入があるとのことです。しかしながら、最近ではAmazonプライムやネットフリックスをはじめ、多くの動画配信サービスが出てきたためにその会員数は年々減り続けている状況のようです。

このイメージだけでは落ち目にある企業なのでは?と思いがちですが、実は、2007年にJSATと経営統合して以降、アジア最大の衛星通信会社として航空機WiFiや海上船舶等への通信整備、衛星データ活用などに取り組んできました。

今では、セグメント利益で見ても宇宙事業がメディア事業の倍を稼ぐようになっているのです。

宇宙関連銘柄といえば、他に思いつく企業や人気化する企業がいっぱいありますが、スカパーJSATこそ宇宙事業で稼いでいる本命と言えるのではないでしょうか。

具体的にどのようなことを行っているかといったことは、ホームページや決算短信、有価証券報告書等で確認してみてください。
以下には、それ以外で調査した結果と所感について記しておきます。

IRへの確認

今後の成長が期待されるスカパーJSATですが、ホームページや記事だけでは確認しづらいことがあります。下記4点についてIRに確認しましたので回答を共有できればと思います。

IOWNグローバルフォーラムについて

【質問1】NTTでは2019年からIOWN構想を進めていますが、貴社はIOWNグローバルフォーラムに「General Members」として参画されております。これについて貴社はどのような位置づけとなるのか、具体的にどういった事で参画するのか、参画することでどのようなメリットがあるのかを教えて下さい。

【回答1】グローバルなコンピューティング・ネットワーク技術を有しIOWNの実現に取り組むNTTと、30年以上の衛星通信、衛星放送をはじめとする宇宙事業での豊富な技術・実績を有する当社の連携により、宇宙統合コンピューティング・ネットワーク構想の実現に挑戦してまいります。
その実現のために、当社はNTT㈱と共同で㈱Space compassを設立し、①宇宙データセンタ(宇宙における大容量通信・コンピューティング基盤)、②宇宙RAN(Beyond5G/6Gにおけるコミュニケーション基盤)の事業・サービス化に向けて取り組んでおります。

IOWN利用と収益構造について

【質問2】宇宙RANやHAPSの早期実用化に向けて取り組まれていますが、将来的にはこれらのデータ伝送にもIOWNが利用される可能性があるのでしょうか。その場合、貴社はNTT社に利用料を払い、貴社事業の顧客から収益が上がるのでしょうか。IOWNが利用されない場合の基本的な収益構造と一緒に教えていただけますと幸甚です。NTTとは密に連携を取られておられるようなので次世代ネットワークインフラにおける貴社の重要性が増していくことに期待しております。

【回答2】【回答1】にてご説明した宇宙統合コンピューティング・ネットワーク構想においてIOWN技術が活用されていきます。
収益に関しまして、例えば㈱Space compassが宇宙データセンタ事業において、想定ユーザーである観測衛星事業者等からサービス収入を得る、宇宙RAN事業において、携帯通信事業者から収入を得るといったことを想定しております。
なお、㈱Space compassは持分法適用会社であるため、当社の業績には持分法による投資損益として計上されることになります。

決算の季節性要因について

【質問3】例年、第4四半期においてはメディア事業の販促費等増加により利益が落ち込む事を確認していますが、これは今後も続いていくのでしょうか。特に前期においては大きくマイナスとなったため今後も毎年同様の傾向となるのか、昨年に特化した事なのかを確認させていただければと思います。

【回答3】ご認識の通り、メディア事業におきましては、例年第4四半期にプロ野球を始めとした、各種スポーツの開幕に合わせたプロモーションを行うため、販促活動費が大きくなります。この傾向は今後も続きますが、効率的なプロモーションを行うことで、コストコントロールしていく考えです。 昨年度に関しましては、コロナウイルスの影響が続いていたため、昨年上期に思うように販促活動を行えず、その反動で下期に費用が集中して販促活動費が大きくなっていた部分がございました。今年度はそうした状況が解消されており、年度にわたって費用が平準化されております。

航空機WiFiについて

【質問4】航空機WiFiについては、旅行業界のコロナ禍からの回復に伴い、WiFiの利用者も増えていく事と存じます。航空機WiFiの収益構造としては、航空機一機ごとに売上が生じるBtoBとは思いますが、利用客(通信量)が増えれば増えるほど売上が増加するのでしょうか。それとも航空機一機につき定額の売上となるのでしょうか。

【回答4】航空機Wi-Fiにつきましては、当社と航空会社の間に、通信回線の卸業者であるサービスプロバイダーがおりまして、当社はサービスプロバイダーと契約し、衛星通信回線を提供することで収入を得ております。基本はサービスプロバイダーとの定額契約ですが、利用客(通信量)が増え、航空会社から回線利用の増加要請等があれば、サービスプロバイダーを通じて当社の売上が増加するというものになります。

チャートや指標

スカパーJSATについては、約3億株を発行しており、そのうち25.7%を伊藤忠・フジパートナーズ、9.6%を日本マスター信託口、8.7%をNTTコミュニケーションズ、7.0%を日本テレビ放送網、6.1%をTBS、4.8%を日本カストディ信託口…と続き、70%近くを安定株主が占めています。
また、外国人投資家が19%、投資信託が7%程を占めているようで、浮動株は5%程度=1500万株程度となっているようです。
ただし、2022年11月から信託銀行の売り越しが続いているため、実際には10~15%ぐらいは浮動株があると見てもよさそうです。

楽天証券アプリから東洋経済社四季報の情報をキャプチャ

指標面では、株価540円(=時価総額1600億円)に対して、PERが10.5倍、PBRが0.6倍程度で推移しており、割安感さえあります。また、配当利回りは3.3%あります。
割高感がなく、過熱感もないので、まだ安心して買える水準ではないでしょうか。

そんな中、日足は2023.3.9時点で直近の高値を更新するような動きとなっており、2022年8月につけた583円もすぐそこ。月足で見ると806円が上場来高値ですのでこれを上抜けると軽そうで桁替えも視野に入りそうです。手元資金も多くありますので自社株買いや増配にも期待したいですね。

直近3か月間の日足(SBI証券アプリからキャプチャ)
直近1年間の日足(SBI証券アプリからキャプチャ)
上場来の月足(SBI証券アプリからキャプチャ)

まとめ

いかがだったでしょうか。
今回は、中小型株から少し離れて、時価総額1000億円以上の企業から今後の成長が楽しみな企業のうちのひとつである、スカパーJSATを調べてみました。

今年に入ってから、長らく低迷していた日本経済も物価上昇から賃上げの動きが活発となったことで、長らく続いたデフレからの脱却が見えてきそうです。
長らくデフレに苦しんできたわが国ですが、賃上げと物価上昇がうまくかみ合えばデフレ脱却からインフレの好循環に乗ることがでいるために、過度に割安な状態にある銘柄は恩恵を受けることになると考えています。
そうした観点からも、これだけ期待の持てる事業に取り組んでいる企業が、PBR0.6で放置されているのは違和感がありますし、是正されてもいいのではないかと思います(私見です)。

同じような観点から、大型株と言われる銘柄でもまだまだ多くの投資機会が潜んでいそうです。
中小型株だけでなく、少し大きな企業にも目を向けてみてはいかがでしょうか。

ーおわりー

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