SWOT分析【3904 カヤック】

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こんにちは!
個人投資家のsoiyaです!

早いもので2020年3月のコロナショックから2年半が経ちました。
2020年に右肩上がりだった相場はその後ヨコヨコの展開となっているものの総じて堅調かと思いますが、調子はいかがでしょうか。

さて、今回は、主に企業分析等で使用される「SWOT分析」にあわせて「IRへの問い合わせ」も行って、銘柄分析をしてみましょうという話です。
※今回はS,W,O,Tの見出しには分けず、文中で【S】【W】【O】【T】として記載します。
言わずもがな、「Sは強み、Wは弱み、Oは機会、Tは脅威」です。

SWOT分析については、過去の記事も参考に読んでみてください。

例として、ゲーム業界やeスポーツ、自治体との連携等、話題のメタバースまで、多角的に面白い事業内容を多く持つ【3904 カヤック】について調べてみましたので参考にしてください。

マクロ環境

まずは2022年8月16日時点での日米のマクロ環境です。年初から米国、日本ともに売られ続ける場面が続きました。3月にはロシアのウクライナ侵攻もあった事で世界同時的に大きく下げる一面もありました。

米国ダウ平均・NASDAQ)は2022年6月17日につけた底値から反転する形で一旦反発の動きを見せています。

景気敏感指株の高い日本ではもともと割安と言われる水準まで売られていた事もあってかロシアショックの3月9日を大底に反転後、ヨコヨコしている形です。

日本の新興市場においては連続性を加味してマザーズ指数を採用しておきます。こちらは日経平均と比較しても割安性がサポートする事はなかったためか、米国に追随する形で反転したようにも見えます。

(個人投資家の主な戦場でもある)新興市場がこのまま持ち直す事を予測すれば、これまで売られ続けた事で『売られすぎ』の水準にあると思われる銘柄を仕込むのは有効な戦略となりそうです。

その為にはしっかり分析する事が大事です。
今回はSWOT分析と合わせて、IRへの問い合わせも行い、より深く調べる事をメインテーマとして書いてみました。

【3904 カヤック】

カヤックのセグメントは、クリエイティブプロデュース、ゲームエンタメ、eスポーツ、ちいき資本主義、その他(メタバース等)の5つに分かれます。それぞれ事業環境と事業内容についてまとめました。

事業環境と事業内容

(1)クリエイティブプロデュース

事業領域は、デジタル広告市場となります。
ここ数年で年率15%成長を続けている市場で、今後も更に伸びていくであろう市場です。
市場の拡大とともにカヤックも中長期的にその恩恵を受ける事はほぼ確実でしょう。【O】

カヤックにおいても、前年同期比で約10%の伸びとなっています。
8/15に発表された2022.12.2Q決算でもその好調さを維持しており、2Qだけを見ても過去最高の売上高となりました。
カヤックは自社を『面白法人』としていることもあり、様々な取り組みを行っていますが、この分野においてはクリエイターの育成に注力しており、そのアイデアや企画力・技術力や開発力では競合他社に負けないものを持っています。【S】

また、3Q期間にあたる7/28には、お笑い芸人の野田クリスタル氏が製作した「スーパー野田ゲーWORLD」が発売され、DLランキング1位と絶好調の滑り出しを見せています。
野田氏によるテレビ等での宣伝効果もあってか、まだまだ伸びる余地はありそうです。
カヤックはこのゲームに企画・制作として参画していますが、例えば本ゲームの大会やイベントを開催する等、今後の展開にも期待が持てそうです。【O】

(2)ゲームエンタメ

次にゲームエンタメです。こちらはハイパーカジュアルゲームという比較的操作が簡単なゲームアプリを開発し、ゲーム画面中に広告を出す事で、広告収入を得る仕組みとなっています。
また、ゲーム内の課金収入や受託開発等による売上もこれに入ります。

世界のハイパーカジュアルゲーム市場も年率15%で伸びており、カヤックはハイカジゲームダウンロード数においても急速な伸びを見せています。【O】
事業開始から1年で1億DLを達成後、わずか2年9ヶ月で5億DLを達成しており、今後の新作にも期待が持たれます。これも面白法人としての様々な取り組みを通して、クリエイターが育っている証拠かと思います。【S】
直近発売のゲームにおいても北米でGoogle playランキングで1位を取得したみたいですね。

ただし、ハイパーカジュアルゲームはその単純さゆえに飽きられるのも早く、回転が早いのも特徴です。
いかに継続して面白いゲームを出し続ける事ができるかというところや非常に多くの競合他社がいるというところは売上や収益を評価する点では難しいところです。【W・T】

収益構造については、プレーヤー(私達)がゲームを新規インストールする為にかかる為に必要な単価(CPI)が費用となり、ユーザーがゲーム内で広告を見たりクリックしたりすることで入る広告収入(LTV)が売上となります。

つまりはCPIよりLTVが多くなる事でカヤックが儲かる形となるわけです。
その為にはCPIをなるだけ抑えて、LTVをなるだけ高くする戦略が必要となります。

例えば、インストールしてほしいゲームをInstagramでPRするのに100円のCPIがかかるとします。
そのゲームをインストールした後にゲーム内広告で200円の収入があれば100円の利益となります。
そんなゲームが1万DLあれば200万円の売上、100万円の利益となるといったイメージでしょうか。

また、ハイカジゲームは北米で伸びており、ドル建ての売上となりますので、円安ドル高の今は為替差益が計上される事になります。
逆に円高ドル安となれば為替差損が生じますので注意が必要です。【T】

(3)eスポーツ

個人的に今後10年間で一番伸びそうなセグメントと見ているのが、eスポーツです。
こちらは年率で国内25%、海外15%の伸びで、まだまだ拡大期の途上ではないかと感じています。

中でもカヤックは、国内最大級の実績とノウハウを持っており、Tonamel(ゲーム大会を気軽に行えるシステム)の開催数やIZAZIN(トレーディングカードゲーム大会の情報サービス等も充実しています。【S】
今後、業界全体が盛り上がるにつれて、その市場成長の恩恵を大きく受け続けてくれることを期待できます。
(私見ですが)いずれは、ソニーや任天堂等、大手ゲーム&エンタメ企業との協業等も見据えて中長期的に応援していきたいものです。【O】

(4)ちいき資本主義

ちいき資本主義については、主に自治体との事業になります。
カヤックは神奈川県鎌倉市に本拠地を置いていますが、これまでにも鎌倉市と様々な事業をやってきました。
そのノウハウを活かし全国的にも展開を始めており、ちいきコインやSMOUTの導入自治体数を伸ばしてきています。

ちいきコインはイメージが湧きやすいと思いますが、SMOUTとは?

【地域に移住したい人、関わりたい人は、自分のできることやプロフィールをSMOUTに登録しておくと地域からスカウトメッセージが届きます。
地域側は自分の地域の魅力や募集する人をプロジェクトとして掲載したり、情報発信します。
地域に興味を持ってくれた人や相性の良さそうな人を見つけたらメッセージ機能で、ダイレクトに双方向のコミュニケーションが可能です。インターネットを活用して関係を育み、お互いのタイミングがあった時に訪問や移住へとつなげることができます。】

地方創生をモノやカネからではなく、「ヒト」から作ろうとする取組で、全国自治体の半数近くが導入している事業でもあります。こちらは自治体がお客さんにあたるため、第1四半期に売上計上されることが多いという季節要因があります。

これまでひとつの自治体(鎌倉市)と深く関わって事業をこなしてきたことは何よりも企業としての信頼度が増しますし、これから他の自治体に水平展開していく上で、実績があることは大きな強みとなります。【S】
行政DXの重要性が叫ばれるなか、先にこうした実績を作り、全国展開を進めていることは大変大きな強みとなっていることは確かです。事実、SMOUTやちいきコインの導入自治体数は急速に伸びています。今後も更に伸ばしていき、更には、それらの点を線で結ぶような事業を新たに創出していくことも考えられますので、今後の動きに注目していきたいものです。【S・O】

ただし、伸び盛りの事業には、事業投資がつきものです。
人材採用や育成に大きな資金が必要になってくる時期であることもリスクとして頭の片隅に入れておきたいものです。【T】

(5)メタバース、その他

カヤックは、その他領としていますが、今後の成長が期待されるものとして、メタバースについてこのセグメントに含まれる為、ここで紹介しておきます。

メタバースとは仮想空間において、デジタルとリアルの世界とつなぐ3次元空間ですが、Facebook社がMetaに社名を変えてまで本気で取り組むようになった、新たな市場でもあります。
今後、メタバースを通して、どのようなことができるのか、どれぐらいの市場規模となるのかはまだまだ未知数であり、大きな可能性を秘めたセグメントであることは間違いありません。【O】

なかでも、カヤックは、日本経済新聞社が発足した「日経メタバースコンソーシアム」の未来委員会構成メンバーとして、カヤックのメタバース専門部隊責任者である天野氏が入っています。
経済産業省や東京大学、ソニーやNVIDIA、凸版印刷や大日本印刷、PwCコンサルといった産学官の錚々たる顔ぶれの中に、カヤックが入っていることは大変楽しみなことでもあります。【S・O】
メタバースをどのように利用し、開拓していくか。カヤックの今後の活躍に期待です。
ただし、これについてもまだまだ投資時期であることは否定できないため、事業投資期であるということや競合他社の参入などリスクの面もしっかり把握しておくべきことかと思います。【T】

主なリスクのまとめ

リスク要因については、これまでも【W】や【T】としてあげてきましたが、説明資料に該当するページがありましたので、画像だけ掲載しておきます。

おまけ短信

さて、これまで、決算短信や決算説明資料等をもとに紹介してきましたが、カヤックは「おまけ短信」というのも発信しており、それぞれの部門から四半期ごとの自慢や反省点等が紹介されています。
法的な開示事項だけでなく、こういった情報を見れるというところも面白いですね。
数字には現れない現場の声や所感を聞くことができるため、投資家と会社の距離が縮まる感じがします。
お時間があれば、ホームページからのぞいてみてください。

カインズ(CAINZ)との資本業務提携

その他のトピックとして、2022.05.23には、カインズとの資本業務提携を発表しています。
全国28の都道府県でホームセンターを展開し、業界トップ企業であるカインズとの提携により、「くらしをもっと、面白く」を合言葉に地域やそこで生きる人々のより良いくらしを応援する様々な取り組みを進めていくとのことです。

具体的には、
(1)顧客に対するプロモーションなどコミュニケーション戦略の推進
(2)両社による話題性を伴う商品又はサービスの共同開発
(3)カインズのくらしメディアにおける継続的なコンテンツ開発
(4)カヤックの提供するまちのコインを活用したDIY等のコミュニティの育成
(5)カインズが推進するくみまち構想とカヤックのちいき資本主義事業の連携
(6)両社の授業員の人財交流によって両者の創造的な社内文化を活性化させること
を業務範囲に掲げています。
中長期的にみて、売上や利益の増加につながるものと考えて良さそうですね。【O】

まとめ

いかがだったでしょうか。
カヤックは主にゲーム市場で成長してきたこともあり(しかもトレンドの短いハイカジ)、中長期的な業績の予測も立てにくいためか積極的に買われ続けることはなかったように思います。
株価も2014年の上場後すぐにつけた1800円(分割前3600円)を超えることなく、コロナショック時には315円まで売り込まれるなどし、長らく低迷又はヨコヨコした展開が続いてきました。


しかしながら、紹介したようにちいき資本主義やメタバース等、今後が非常に楽しみな事業に加えて、ホームセンター業界最大手のカインズとの資本業務提携したこともあり、これから更なる成長が見込める状況にあります。
この記事を書いている2022.08.17現在では、会社予想売上150億、EPS65.75円に対し、株価900円・時価総額142億円程度で推移しており、PSRは1倍、PERは14倍、PBR3.3倍と過度な割高感もありません。

いずれ、事業の進展やニュース等をキッカケに大きく上昇するかもしれませんので、その時を待って、中長期的に応援していきたいですね。

おわり

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