【敗者のゲーム】で勝つために【敗北力】について考える

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こんにちは!
個人投資家のsoiyaです!

世界的かつ歴史的な暴落だったコロナショックから1年が過ぎました。
その後の各国での金融政策が奏功し、株式市場は一時的な下落こそあるものの、この1年間は一直線に右肩上がりでした。
この1年間で難なく大きく資産を伸ばした方も多いのではないでしょうか。

今回は、これから待ち受けている(あるいは既に受け入れている)「負け」や「失敗」をうまく活かしながら、成長していこうというお話しです。

↓↓コロナショックの最中に書いた記事は下記からどうぞ↓↓

敗者のゲーム

国内・海外を問わず、機関投資家やヘッジファンドの運用者、個人投資家など、あらゆる投資家の間で時代を超えて読み継がれる運用哲学のバイブル【敗者のゲーム】という著書をご存じでしょうか。

本書の中で、資産運用は「敗者のゲーム」であるとされています。

敗者のゲームとは

敗者のゲームとはどういった意味でしょうか。

本書の中で挙げられている著書「初心者のための脅威のテニス」によると、テニスは大きく分けて2種類のゲームに分けられるとのことです。

一つは、プロ及び天才的アマのゲームであり、もう一つはその他大多数のゲームである、と。

どちらのテニスもルールはもちろん、服装や道具等は一緒ですが、全く違うゲームだとのことです。

どういうことでしょうか。

プロ及び天才的アマのゲームは、長いラリーの末に強力で正確なショットを放つことで得点を勝ち取っていくゲームであり、こうした一流のプレーヤーはめったにミスをしません。
一流のプレーヤーによるゲームは、勝敗は勝者の行動に左右されます。
本書では、これを「勝者のゲーム」としています。

一方で、その他大多数のゲームは、素晴らしいショットや長いラリーはなかなか見られず、ボールはしばしばネットにかかったり、ラインの外に出ます。
プロのゲームとは逆で、得点のほとんどは相手のミスによるものです。
こうしたゲームでは、勝敗は敗者の行動に左右されることになります。

本書では、これを「敗者のゲーム」と呼んでいるのです。

ちなみに、これを検証するため、いくつものテニスの試合データを集めたところ、プロのゲームではポイントの80%が勝ち取ったものであるのに対して、その他大多数のゲームでは、ポイントの80%が敵失によるものだったとのことです。

「敗者のゲーム」は他にも…

同じテニスであっても「勝者のゲーム」と「敗者のゲーム」とに分かれることを述べましたが、こういったゲームとなっているものは他にもあります。

例えば、ゴルフ。
ゴルフは、スコアを伸ばすために積極的に攻めていくというよりも、いかにミスショットを少なくするかが勝敗の鍵であるということが一例に挙げられています。

また、究極の敗者のゲームとして戦争が挙げられています。
(戦争をゲームというには不謹慎かもしれませんが、勝敗を左右する戦略的な話の例えとして挙げられているようですのでご理解ください。)
軍事問題を専門とする歴史家の著書によれば、「軍事的決定を行う際には、敵の戦力や計画に関する推定に基礎を置くが、それはよく間違う。また、知恵を働かせるがそれは決して完璧ではなく、しばしば人を誤らせる。」「戦争では、他の条件が等しければ、戦略上のミスを最小にする側が勝つ」としています。

株式投資も敗者のゲーム

さて、株式投資をしている方は心当たりがあるかもしれませんが、本書の中では、資産運用も「敗者のゲーム」とされています。
株式投資においては、最初から敗者のゲームだったわけではなく、時代の変遷とともに勝者のゲームから敗者のゲームになっていきました。

私たちが生まれるよりもっと前では、アマチュアの投資家や個人投資家の参加者は少なく、プロ同士の取引量が市場の多くの割合を占めており、ポイントを勝ち取る「勝者のゲーム」でした。

一方、今日では、市場参加のハードルが下がったことで、市場参加者が増え、専門的な情報も容易に入手することができるようになったため、攻めて攻めて市場平均を打ち勝つということは、よっぽどの優位性がない限り難しい時代となりました。

最近の相場においても、 特定の人だけが資産を増やしているのではなく、 コロナ禍のもとで大規模な金融緩和が行われていることにより、全体(市場平均そのもの)が右肩上がりになっていることは明らかです。

言わずもがなですが、市場平均に勝つには、それだけ多くのリスクを取らなければいけません。
市場平均以上のリターンを得るために市場平均以上のリスクを取った結果、一時的には市場平均以上のリターンを得ていたとしても、いずれ市場平均以上のダメージを負うことで、その期間のトータルリターンとしては市場平均に収束する(又はそれ以下となる)ことを表しているのかと思います。

「リスクを取りすぎたから大きく増えて、リスクを取りすぎたために大きく減らす」ということを繰り返していては、長期的には平均に回帰します。
自分だけはそうならないと考えている人ほど、そうなってしまうのです。

本書では、インデックスファンドを活用することで、長期的にはほとんどのポートフォリオマネージャーを打ち負かしていると結論づけています。
興味のある方は、こちらで購入できますので是非読んでみてください。


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敗者のゲーム(まとめ)

株式投資においては、市場平均以上のリターンを得るために市場平均以上のリスクを取った結果、一時的には市場平均以上のリターンを得ていたとしても、いずれ市場平均以上のダメージを負うことで、その期間のトータルリターンとしては市場平均に収束する(又はそれ以下となる)ことを述べました。

また、【敗者のゲーム】を最後まで読むと、「株式投資ではなるべくミスをなくすことで優位に立つことが重要。だからリスクもリターンも市場平均を追うインデックスファンドに投資し続けることで長期的に勝者になろう」との結論でした。

しかしながら、ごく少数ではありますが、プロと互角に戦う天才的アマがいるのも確かです。
では、どのような人が市場に負けることなく、長く勝ち残っていくのでしょうか。

ミスをしないことが肝心であることは分かりますが、一方でどのようなゲームにおいても始めたばかりの段階ではミスはつきものです。
この段階でのミスによって自ら敗者のレッテルを貼ってしまい、そのまま終わってしまってはもったいないなと感じます。

【負けかたの極意】に学ぶ敗北力

ミスをしないことが肝心ではありますが、どのようなゲームにおいてもミスはつきものです。

次に「ミスをミスとしない」「ミスをミスのまま終わらせない」という話をしたいと思います。

私は【敗者のゲーム】を読むと同時にもう一冊の本に出会いました。

それは【負けかたの極意】(野村克也著)です。

著者・野村克也氏について

野球が好きな方にとっては言わずと知れた名監督ですが、どのような方かを簡単に。

野村克也氏は、本書の中で、自らを「天才ではない、器用でもない。(中略)純粋な野球の才能では、私ははじめから弱者であり、敗者だった。」と綴っています。

田舎育ちで裕福ではない家庭からどのように生活費を稼いできたか。
廃部寸前だった高校野球部を存続させるためにしてきたこと(ちなみに甲子園予選は1回戦負け)。
当然、スカウトの目に留まらずとも、プロになる決心ひとつで入団テストに受かる方法を分析したうえで受けて見事合格し、プロへ。
実はブルペンキャッチャーとしての短期契約だったのに、レギュラーになるにはどうしたらいいかを考え実践。
契約解除ギリギリのどん底から這い上がって勝ち取ったレギュラー。
そして、その翌年には本塁打王。

以降も戦後初の三冠王、5度のMVP、首位打者1度、本塁打王9度、打点王7度、ベストナイン19回、ゴールデングラブ賞1度…
と輝かしい成績をおさめてきました。

その後の監督生活では、ヤクルト、阪神、楽天の選手・チームを育て上げ、監督生活は通算1565勝1563敗。

勝敗数だけを見ればトントンですが、万年最下位やBクラスだったチームの畑を耕し、種を植え、実がなるまで育てあげた考え方が綴られた本書は大変為になるものでした。

その背景には、自分はもともと敗者であるとの認識から、負けを単なる負けに終わらせない、どうすれば改善されるかに重きを置く、改善のために工夫を凝らし改善されるまで繰り返す、といった結果よりプロセスを大事にする考えが根底にあります。

負けから学び、負けを活かし、成長する「敗北力」に焦点を充てた本書については、株式投資においても大変大切な考え方だと思いますので、少し紹介したいと思います。

野球も敗者のゲーム

さて、冒頭で敗者のゲームについて述べましたが、本書の冒頭も「野球とは”失敗のスポーツ”である」から始まります。

「成功より失敗の方がはるかに多い。あらかじめ失敗が組み込まれている。それが野球というスポーツであり、本質である。」と話しておられるのです。

バッターはどんなに優秀であっても、ほぼ7割の確率で打ち損じてアウトになります。ヒットエンドランや盗塁でも失敗はつきまとうし、送りバントですら100%にはなりません。守りにおいても投手の失投や野手の失策はつきものです。
したがって、野球というスポーツにおいては、いかに失敗を制御するかが試合の勝敗を分けるカギとなり、できる限り失敗を少なくすることが勝利への近道だと。

とすれば、失敗を活かす選手とチーム・活かさない選手とチームには大きな差が生じることとなります。

失敗や負けから何をどれだけ学ぶことができるかによって、成功する確率・勝つ確率は随分変わってくるのです。

これが、敗北力です。

前・中・後の一日3ゲーム

野村監督は、プレーヤー時代、言わずと知れた名捕手でしたが、その頃から自分に一日3ゲームを課していたそうです。

1ゲーム目は、試合前に行う「予測野球」(=今でこそイメージトレーニングやシミュレーションとして浸透)です。
味方投手と相手投手をイメージし「1球目はこの球種とコースから入り、2球目は、勝負球はこれ。」と組み立て、攻略法を考えながら1回から9回までを勝負する。当然に良い場面だけでなく不利な場面も入れながら。

2ゲーム目は、もちろん実戦

3ゲーム目。
勝とうが負けようが、試合が終わってからスコアブックをもとにもう一度試合を振り返ります。
予測野球どおりに実戦が進むことはまずありえないのですが、一球一球を丹念に振り返り、次の戦い方を検討していくというのです。

そうすると、勝ち試合であっても、攻め方を違えていて防げたはずの点を与えてしまったとか、たまたま相手が打ち損じてくれたからよかったものの、そこで流れが変わっていたかもしれないということに気づくことができるとのこと。それが負け試合であればより多くのことに気づくことができるのです。

この一連の作業をしっかりやっておけば、次への対策に繋がるだけでなく、変化に気づくこともできるようになります。

「勝ったからそれでいい」「負けたことは忘れて気持ちを切り替えよう」としていては、せっかくの負けが経験則として蓄積されないどころか、変化に気づくこともできず、同じ失敗を繰り返したり未然に防げたはずの事態を避けることができなかったりといったことになってしまうのです。

ちなみに本書では、人は勝ちからは学ばない(学ぶことは少ない)とも書かれています。

古田捕手への教え

ヤクルト時代の野村監督が、当時控えの捕手から正捕手に育てあげた選手に古田敦也氏がいます。

その時に、口酸っぱく教えていたのは「配球には、一球一球、根拠が必要」ということだったそうです。つまり、「なんのために、そのボールを投げさせるのか」という理由づけ。

1.長所と短所は何か(ヒットゾーン、凡打ゾーン、空振りソーン)
2.ヤマを張るのか、コースを狙うのか
3.高め打ちか、低め打ちか
4.引っ張るのか、流し打ちか
5.早打ちか、待球か
6.足の速さはどうか
7.バントヒットはあるのか
8.好調か不調か
9.どんな性格か

捕手が投手に配球のサインを出すにあたり、個々のバッターについて、こういったことを考慮してます。
そして、一球一球、スタンスや見逃し方等を観察しながら、心理状態を洞察し、更には過去の対戦を分析した記憶をもとに、次に投げさせる球が決まります。
ベンチに帰ってきた古田選手に、一球一球の根拠について質問責めにしていたというから驚きです。

トレードに置き換えると…

さて、ここまで読んでいただいた方はお気づきの方も多いとは思いますが、一日に3ゲームを課していたことや一球一球に根拠・意味を持たせることは株式投資における日々のトレードに通ずるものがあります。

「野球において一球一球に意味を持たせること」→「投資先を決定し、実際にトレードすること」に置き換えれば、負けや失敗を減らしていくことができ、結果的に敗者のゲームを制することができる(かもしれない)と考えます。

例えば、私は以下のようなことはルーティンとして常に考えながら、日々の取引に臨んでいます。
(上記と併せて9つ挙げてみましたが、もっと多くのことを考慮する必要があると思っています。)

1.前日の日経平均やマザーズ指数はどうだったか。先物の手口に大きな変化はないか。
2.前日の米国市場(ダウやNASDAQ)はどうだったか。
3.為替や債券、原油や銅、金や仮想通貨はどうか。
4.新聞やニュースに目新しいものや市場に影響を及ぼすものはないか。
5.自分が監視している銘柄(売買しようとしている銘柄)に影響を及ぼすような記事はないか。
6. 自分が監視している銘柄(売買しようとしている銘柄) に適時開示やIRがあったか。
7.直近の決算はどうだったか。
8.今のマーケットはどんな銘柄や業種が買われて(売られて)いるか。
9.どんなプレーヤーが参加していそうか。

このような前提条件を、まず念頭に置きながら、個別銘柄に落とし込み、今後を予測したうえで売買します(1ゲーム目)。

保有している間は、上記9つのような土台の変化を見ながら、持ち高の調整を取ったりバランスを取ることを繰り返します(2ゲーム目)。

そして、スキャやデイ・スイング・長期にかかわらず、そのトレードを終えた時に、振り返る(3ゲーム目)。

利益にしろ損失にしろ、前提条件の捉え方は間違っていなかったか、買った(売った)理由は間違えていなかったか、売買のタイミングは適切だったか。
もっと利益を伸ばすにはor損失を回避するには、何が足りなかったのか、次はどうすればよいのか。

そういったことを考えながら、日々、トレードに対しても改善を繰り返していけば、株式投資を初めたばかりの頃に比べると、負けるべくして負けているような失敗はしなくなりましたし、失敗したとしても何が悪かったのかと意識することができますので、敗者の特権を享受できるものだと思っています。


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まとめ

今回は、【敗者のゲーム】と【負けかたの極意】の2冊から、負けを単なる負けに終わらさない思考を持つことが重要だとお話ししました。

敗者のゲームで勝ち残るには、負けをいかに減らすことができるかが重要であり、その為にはプロセスを重要視し、改善を繰り返すことが重要です。

なんとなく取引をしていては、同じ失敗を繰り返してしまうばかりでなく、予測できたかもしれない失敗を避けることもできません。

逆にこれを日ごろから徹底していれば、他人より失敗を減らすことができますし、市場の小さな変化にいち早く気づくことで前もって負けを避けることができるようにもなれそうです。

勝ち続けているから自分は正しかったとか、負けが続いてきたから自分には無理だと落ち込んだり辞めてしまったりしないように、日々のトレードにおいてもプロセスに重きを置いていきたいですね。

またプロセスに重きを置くことはすぐに結果に繋がることではないので、継続していくことも大切です。

最後に野村監督の言葉で締めくくりたいと思います。

【勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし】
                     野村克也

ーおわりー

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